はじめに

新しいMacBookがAppleから発表されました。これまでよりも薄く、軽く、そしてRetinaディスプレイ搭載で全く新しいMacBookに生まれ変わりました。
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これまで、MacBook Airの12インチとして発表されるのではないかという噂でしたが、AirはそのままCPUとSSDのアップグレードにとどまり、MacBookが復活という形になりました。

新しいMacBookは、その薄さと軽さから、Macのモバイル性能を飛躍的に前進させるコンピュータとなるのか、Appleはどのような未来を描いているのか、考えてみます。

Appleらしい潔さが見られるUSB Type-Cポート

新しいMacBookで一番目を惹くのは、その軽さや薄さ、Retinaディスプレイではなく、USB Type-Cポートではないかと思います。新しいMacBookの入出力ポートは、右側のイヤホン・マイクポートと、左側のUSB Type-Cポートの2つだけです。
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Magsafe、USB、HDMI、Thunderbolt(mini display port)、VGAといった5種類の異なる用途のポートを1つのUSB Type-Cポートで賄わせるという、Appleらしい、いやスティーブ・ジョブズらしい潔さを感じました。

薄型化、軽量化、バッテリ搭載を最大限考慮した結果、USBやThunderbolt、電源ケーブルを犠牲にするという考え方は、Apple以外には決断できない切り捨てだと思います。誰もが「USB Type-Cの1ポートだけかよ!」というツッコミをせざるを得ないのは分かりきっています。にもかかわらず、こんなにも大胆なことをするのは、「Appleが望む未来」へ強制的に移行する戦略が見え隠れしているのではないでしょうか。

Appleが望む未来

Appleはこれまで、CDドライブやLANポートの早期廃止やオンボードメモリの採用、クラウドサービス(iCloud)の促進といったノート型コンピュータの革新に他社よりもいち早く取り組んできました。

Appleは、Wi-Fiを利用してインターネットに常時接続可能な環境が当たり前になったことを前提としたものづくりを促進しているように思えます。新しいMacBookの拡張ポートがUSB Type-Cの1つにした背景として、クラウドサービスの更なる利用促進を考慮したものであると考えられます。
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USBを利用する上で考えられる用途としては、USBメモリや外付HDDなど、データの受け渡しが主であり、それらはiCloudやdropboxなどのクラウドや、家庭内のNASで代用可能です。キーボードやマウスに至っては、ケーブル接続よりもbluetooth等の無線接続が当たり前になってきています。

つまり、Macbookで常時利用するケーブルは、「電源」程度であるという考え方に至ったのではないでしょうか。振り返ると、私のMacBook Airも、電源ケーブル(Magsafe)以外は、USBにしろThunderboltにしろ、ほとんど利用していないのが現実です。

モバイル用途のコンピュータということも加味すると、拡張性は最小限で良いというAppleの考え方は否定出来ません。最悪、USB Type-CにUSBハブを付ければ、スマートではありませんが、充電しながらUSBを使用できます。ただし、そういう時って、普段はそんなに多くないのでは?と思います。

Appleは、ノート型PCに最大限のモバイル性能を追求した結果、「軽さ」「薄さ」「華麗さ」を実現したMacBookを生み出しました。これは、Appleが望むモバイルPCとしての未来、つまり「オールワイヤレス」を目指す転換点になるMacBookになったのではないかと思います。

まとめ

Appleは常に先進的で、スマートで、エレガントな商品を世に出してきました。新しいMacBookは、Appleも言うとおり、「完全なる発明」であり、他社の追随を許さない製品に仕上がっていると感じます。それと引き換えに、利用者は今までの使い方をもう1度改める必要性が出てきたのも事実です。

「オールワイヤレス」というスマートな考え方を尊重できる人であれば、新しいMacBookを違和感なく利用できるのではないかと思います。その前提として、USBメモリや外付HDDなどのUSBを挿して使用するデバイスについては、利用者自らがそれらのデバイスから卒業することが必要です。

最後に、新しいMacBookを利用する上でもう1つ必要なことがありました。それは、15万円以上するMacBookを購入可能な経済力を持っているかどうかです。
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以上を踏まえて、この新しいMacBookに15万を出せる人は、間違いなく「買い」なのではないでしょうか。